
全国大会予選。
倍率2~3倍。
はい!はい!はい!
スタッフ「ひー」です。
当選した瞬間、私は“選ばれし者”になった。
あれは通知ではない。
啓示。
600km?
それは距離ではない。
巡礼だ。
開催可否は前日昼。
あの時間、私は静かに正座する。
スマホを掲げ、
更新ボタンを押す。
更新。
更新。
更新。
これは確認作業ではない。
祈祷。
そして現れた文字。
「延期」
……神は言った。
「まだだ」
これは中止ではない。
試練。
600km走る覚悟が本物かどうか
全国様は見ている。
クーラーボックスは聖杯。
竿は神器。
リールは法具。
高速道路は巡礼路。
サービスエリアのカツ丼は供物。
私はまだ走れていない。
だが心はすでに出発している。
延期日は卓球大会と重なる。
これは誘惑。
ピンポン玉という世俗の遊びで
私の信仰を揺さぶる作戦。
だが私は知っている。
半年に渡る予選。
抽選。
開催判定。
600km。
この一連の流れこそが修行。
もはや釣りではない。
信仰。
私は釣り教の教祖。
信者は一名。
私のみ。
教義はシンプル。
「全国と書いてあれば行け。」
距離は概念。
ガソリンはお布施。
体力は捧げ物。
理性は不要。
次の抽選も申し込む。
また当選し、
また祈り、
また600kmを近いと言い張る。
全国様は見ている。
海は呼んでいる。
私は走る。
たとえ誰もついてこなくても。








